ファインセラミックスは、ミクロン(1,000分の1ミリ)単位の加工ができるセラミックスで、原料成分の純度を高め、高温で焼いてつくられます。”熱や摩擦に強く、電気を通しにくい”という特徴を活かし、情報通信やAV機器の電子部品(エレクトロセラミックス)、各種工業製品の中に組み込まれる部品(エンジニアリングセラミックス)、人工骨(バイオセラミックス)など、先進技術分野で幅広く使われています。その反面、金属やプラスチックと比べ加工が難しく、素材によっては、水と反応するとアンモニアが発生するなどデリケートな一面もあるため、加工時の取り扱いには注意が必要です。
板井築炉では、耐火レンガで培ったセラミックス加工技術を発展させ、主に電子部品用ファインセラミックスの精密加工に取り組んでいます。セラミックスは加工時の固定が難しく、熱処理をおこなうと収縮する特性から、1ミクロンの精度で加工するには極めて高度な技術を要しますが、我が社ではプラスマイナス数ミクロンの精度を追及し、高水準のセラミックス加工技術レベルを保持し続けています。また、研削から切削・切断、研磨まで、さまざまな加工が社内でできることも当社の利点です。
「セラミックス(Ceramics)」という英語は、”粘土を焼き固めたもの”を意味するギリシャ語の「ケラモス(Keramos)」を語源としています。セラミックスは、古代の土器に始まり、陶器・磁器などの焼き物すべてを指していましたが、現在では、”非金属・無機材料で、その製造工程において高温処理を受けたもの”を総称し、ガラス、セメント、レンガも含まれます。
セラミックスの中でも、特にエレクトロニクス産業をはじめ、各種産業用途に用いられるセラミックスは高い性能や精度が要求されるため、組成・組織・形状や製造工程を精密にコントロールし、新しい機能や特性を持たせてあります。この近代的セラミックスは、従来の自然材料から作られる陶磁器と区別し、「ニューセラミックス」「ファインセラミックス」と呼ばれるようになり、80年代より急速に進歩を遂げました。
原料 | 焼成方法 | 用途 | |
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オールドセラミックス | 天然粘土 | 勘と経験 | 焼き物・陶磁等 |
ニューセラミックス | 精製した天然原料 | 温度等を比較的細かく制御 | 化学実験用の陶器 エンジン点火プラグ等 |
ファインセラミックス | 高純度の合成原料粉末 | 厳密に制御 | LSI基板・電子材料等 |
板井築炉の高度な精密加工技術
セラミックス精密加工の種類と方法
セラミックス板の表面が粗いと金属膜が剥がれやすいため、表面を鏡のように仕上げる「鏡面加工」を施します。当社の鏡面表面粗さRa 0.01µm以下です。細かな粒状ダイヤモンドを含む液体(スラリー)を落としながら研磨機で磨きます。その後、ダイシングマシン(さいの目に切る機械)で目的にあわせてさいの目状に切断し、最後にマシニングセンタと呼ばれる工作機械で穴あけ・中ぐり・ねじ切りなどの形状加工をして仕上げています。
1.精密研削
固定された砥石を用いて削り加工をおこないます。砥石には回転運動が与えられ、砥石内の砥粒で工作物の表面を削り、その面を平滑にし、精密に仕上げます。
[平面研削]
加工物の平面を研削する加工。電磁チャックで加工物をテーブルに保持し、自動または手動でテーブルを送ります。長方形のテーブルが往復運動するものと、円形のテーブルが回転運動するものとあります。
[円筒研削]
円筒状もしくは円板状の加工物の外面を研削する加工。加工物は両端のセンタで支持され、回転運動が与えられます。この加工物の外面に回転する砥石を当てて研削をおこないます。
2.精密研磨
研磨加工は、1万年以上前の磨製石器の製作から始まる長い歴史があり、最先端の電子部品・光学部品の最終仕上げにも不可欠な加工方法です。
[ラッピング]
遊離砥粒を用いた研磨加工の一つで、”粗い研磨加工”という位置づけです。セラミックスなど非常に硬い素材を、所定の形状や寸法に効率良く仕上げるのに用いられます。
[ポリッシング]
遊離砥粒を用いた研磨加工の一つで、”精密な仕上げ研磨加工”という位置づけです。冶具に加工物を貼り付け、片面ずつ研磨していきます。
3.精密切削・切断
回転砥石を用いた切断加工は、電子部品・光学部品などの高脆性材料を、高精度・高能率かつ比較的小さなカーフ幅で切断したい場合に幅広く用いられています。
[ダイシングマシン]
ウエハ上に形成された集積回路を狂いなく切断し、一つのチップとするには高精度が求められます。この機械では、ダイヤモンド製の円形回転刃(ダイシングブレード)を、エアスピンドルで高速回転させ、研削水で冷却しながら切断します。